2016年01月07日

お久しぶりです。妊娠4か月です。

 平成26年6月に妊娠を希望されて1人の女性が来院されました。
年齢は39才、結婚8年、4年前より県内の病院で不妊治療を開始して体外受精を3回おこなったが、いずれも陰性。4回目は採卵も不可であったとのこと。
 昨年より仙台のクリニックへ転院して3回体外受精をおこない、2回化学妊娠。現在、2個の凍結胚盤胞があり、今月にも採卵して凍結の予定。少しでも良質の採卵が出来ればということで鍼灸治療を希望。

 私の方では、次のような説明をさせていただいた上で、鍼灸治療を開始しました。
@妊娠を希望されている患者さんの半数以上の人は、半年〜1年の通院で、自然妊娠もしくは体外受精で無事妊娠されていること。

A不妊治療に関して、子宮の内膜の向上と、卵のグレードアップを目標に治療を行なっていること。内膜の向上には3か月くらい、卵の改善には半年くらいの期間が必要であること。

Bこの患者さんの場合は凍結胚盤胞が残っているので、それがうまくいけば短期間で妊娠も考えられるが、今までの経験からすると鍼灸治療を施してから採卵されたものの方が妊娠率も高くなっていること。

C通院間隔は週1回を基本としていること。

 さて、その後の経過ですが、6月不育症検査陰性、7月新鮮胚移植陰性。8月凍結胚移植陰性。12月凍結胚移植化学的妊娠。2月凍結胚盤胞移植化学的妊娠。という残念な結果になりました。鍼灸治療も3月で中断になってしまいました。

 私は陰性の結果が出るたびに、何の言葉もかけられなかったし、力になってあげることもできませんでした。ただ自分の無力さを痛感するだけでした。
 その中で私が一つだけ心残りだったことは、一定期間以上鍼灸治療を施してから採卵した卵で、一度も移植されていないことでした。移植した凍結胚盤胞は治療以前もしくは治療開始してまもなくのものでした。卵のグレードアップまでは、半年くらいの期間は必要なのです。

 そして、12月のある日に「お久しぶりです」という見出しで、
「実は7月から東京のクリニックに通院をして1回目の顕微授精で妊娠することができて、現在妊娠4ヶ月に入りました。これまでの鍼やお灸のお陰で良い卵が採れたように思います。6月出産予定日です。」
という嬉しいメールが届きました。

 ほとんどあきらめていたので、このメール読んだ時は本当にうれしかったです。不妊治療6年。3件の医療機関で体外受精11回。これまでの患者さんの苦労が報われたことが何よりも嬉しかったです。そして、やはり鍼灸治療は卵の質を向上させる力があるのだと確信しました。

 鍼灸治療開始から1年1か月後の妊娠。言葉の上では順調に短期間で妊娠に至ったように思えるかもしれませんが、私にとりましては、とてもとても長く感じられる1年1か月でした。ましてやご本人やご主人の思いは、いかばかりであったろうかと思います。
 本当におめでとうございます。\(^o^)/\(^o^)/



posted by 麗明堂 at 18:10| 鍼灸随想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月07日

突発性難聴

 突発性難聴は、一般的には発症から1週間以内に治療されれば治療成績は比較的良好ですが、それ以降は治療成績が落ち、2週間を過ぎると治癒の確率は大幅に低下すると言われています。
 このたび発病から半年以上経過した患者さんに対して、比較的短期間に良好な結果を得たので紹介します。

【症例】 男性 39歳 会社員
【初診年月日】 平成26年4月5日
【主訴】 左耳の突発性難聴
【現病歴】
 昨年のお盆の時に、舌をおもいっきり噛んでしまい、しばらく体調を崩したことがあった。このことと直接関係があるのかは不明だが、8月末に原因不明の熱が出て耳が痛くなった。眩暈(めまい)もするようになったので、近くの耳鼻科を受診したところ、前庭神経炎と診断された。

 さらに、9月上旬に朝起きたら左の聴力が落ちていることに気づき、置賜総合病院を受診して検査の結果、突発性難聴と診断された。1週間ほど入院して点滴治療を受けた。発病当初より少しは改善したが、それほど改善しなかった。

 現在の症状としては、左の耳に音がこもっている感じがする。何となく真っすぐ歩けないような、フワフワしているような平衡感覚の異常が常にある。聴力検査では低音障害といわれている。耳鳴りは無い。
思い当たる原因としては、仕事によるストレスがずっと続いていた。

【治療及び経過】
・4月5日(1回目)
 脾積 第3方式 督脈知熱灸2壮ずつ 聴宮・翳風刺鍼 翳風刺絡出血大
・4月12日(2回目) 
 平衡感覚の異常は治った気がするとの報告を受ける。治療は初診時と同じ。
・4月26日(4回目)
 治療は初診時と同じであるが、刺絡による出血量は減ってきている。
・5月17日(5回目)
 聴力が少し改善していると思うとの報告を受ける。
・5月31日(6回目)
 聴力は確実に改善している。最近は意図的に左耳で携帯電話を使用しているが、ほとんど支障ない。来週さくらんぼマラソン(ハーフ)出場予定。

【治療のポイント】
1)積聚治療の背部治療方式の選択について
  頭部の異常には第3方式を採用して功を奏する場合が多い。
2)知熱灸について
  灸の種類による刺激量は透熱灸>灸点紙での透熱灸>ソフト温灸>知熱灸と考えているが、その効果は刺激量に比例しない。そして、知熱灸の特徴に発汗作用がある。発汗によって炎症を鎮める効果が期待できる。また、陰経を瀉したい時にも知熱灸は有効である。
3)聴宮・翳風刺鍼について 
  口を開けておしぼりをくわえてもらった状態での陥凹部を刺鍼点とした。
4)翳風の刺絡
  部位の確認。基本的には微妙に皮膚の硬い処を見つけるのがコツである。

【突発性難聴の患者さんを治療する上での注意点】
 聴神経腫瘍の可能性を考慮する必要がある。当初、突発性難聴と診断されたにもかかわらず結局聴神経腫瘍であったという方が、その後遺症のために3名ほど治療に来院されている。
 突発性難聴は原因が不明で、半数程度の患者は発症の瞬間には強いめまいを伴うが強いめまいは1回だけであり、強いめまいを繰り返えすことはない。もしも再発するようなことがあれば、突発性難聴以外の他の疾患を疑わなければならない。

posted by 麗明堂 at 17:36| 鍼灸随想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月17日

不妊治療 充成斗くん誕生!

充成斗くん.JPG

先日、とてもうれしいご報告を頂いたので紹介します。

 昨年の7月にひとりの女性(35歳)が不妊治療を希望されて来院されました。お話を伺いますと、現在レディースクリニックに通院されていて、人工授精を2回ほど試みたが成功しなかったとのこと。結婚は2年前。周期は26~28日。低温期は13日あるが高温期にバラつきがあり、黄体機能不全との診断。クロミットとプロベラを服用中。

 
 鍼灸治療は子宮の内膜向上と卵のグレードアップを目標に2週に1回の治療間隔でおこないました。その後、7月29日と8月27日に人工授精を試みられましたが、妊娠には至りませんでした。

 患者さんも当初は1〜2回の人工授精で簡単に妊娠するものと思っていたようですが、この頃になるとさすがに不安になり、「このまま人工授精を続けていていいものか?」と疑問を感じ始めました。

 そこで私は、人工授精での妊娠率はそれほど高いものではないこと。しかも妊娠される場合は4回以内での成功が多いこと。それにもかかわらず10回以上もチャレンジされている人もいること。そしてこの患者さんの場合、人工授精の際に痛みと出血があると訴えておられたので、医師に一定の技術があれば痛みも出血もないのが普通であること。などをアドバイスさせて頂きました。

 この頃から患者さんは体外受精へのステップアップを考えるようになり、ご自身で体外受精を行っている各病院の資料を集めて検討した結果、費用が少し高めでも成功率の高い仙台のクリニックを選択されました。

 11月から通院を開始してトントン拍子に治療は進み、1月11日採卵。14日顕微授精移植。25日陽性反応。

 27日に患者さんから喜びの電話を頂きました。「お陰様で、妊娠反応が陽性になりました。鍼灸治療ももちろん効果があったと思いますが、それ以上に先生からアドバイスを受けて最短で妊娠できたことがとても良かったと思います。それに主人もとても喜んでくれたのも嬉しいです。また何かありましたら連絡します。」

 それから10ヶ月。以後、特に連絡はありませんでしたが、時々思い出しては「そろそろ安定期かな。」「もう生まれたかな。」などと想像していました。

 そしてついに11月6日。ご主人と一緒に男の赤ちゃんを抱いて「今日2ヶ月検診だったんです!」とごあいさつにいらっしゃいました。かわいい赤ちゃんの突然の来訪に私たちスタッフ一同感激の嵐!おもわず恐る々抱っこさせて頂きました。名前は充成斗(みなと)君だそうです。

 私自身は大したことは何もやっていません。患者さんご夫婦がよく話し合ってお互いを尊重しながら、躊躇することなく前へ進んでいった結果だと思います。

 充成斗君!パパとママの愛情をたくさんもらって元気に育つんだよ!


posted by 麗明堂 at 10:17| 鍼灸随想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする